あなたは不安なときどうする?GTDアプローチで不安をコントロールしよう!
生きていると、必ず不安なことがあるものです。その原因が明らかであるかどうかは別にしても、私たちは日々何らかの不安感を抱えながら生きているといえるでしょう。逆に、毎日何の気がかりもなく生きている人は極めて稀(まれ)です。
適度な不安は人に緊張感を与え、危険や失敗を回避することに役立ちますが、行き過ぎた不安感は私たちの生産性を減退させ、場合によっては精神を蝕んでしまう危険もあります。
そのため、私たちは不安を適切にコントロールすること日々の生活を安定させなければいけません。
そこで今回は、私たちの抱える不安をうまくコントロールしつつ、日常的にやる気を維持するための方法について紹介します。
目次
「不安」は必要ないもの?
そもそも恐怖心や不安感といったものは、本来は私たちの生存に欠かせないものであり、それ自体は決して悪いものではありません。
現代では、周囲の環境によるさまざまな物理的な危険はほとんど排除されていますし、暴力などの野蛮な行動も法などにより制限されていますから、日常的な問題として迫ってくることは、それほど多くありません。
そのような社会で生きる私たちの目的は、今の快適で安定した生活どうやって維持していくか、あるいは今後ますます人生を充実させるためにどうするか?ということになるでしょう。
おそらく読者の方も、差し迫った危険な問題への対応に追われているという人よりも、今後の自分のキャリアや生き方について頭を悩ませている人が多いと思います。つまり、昔と今とでは、不安の性質が変わっているということです。
私たちは不安耐性が下がっている?
私たちの生活は、これまでの人類の歴史では考えられないほど安全で快適になっています。
しかしその結果として、私たちはほんの少しの問題やリスクに対して、より敏感になってきているといえます。言い換えれば、差し迫った恐怖に代わって、将来における漠然とした不安や、何となく気がかりなことが心の容量を占めるようになっているわけです。
そして不安の対象が漠然としているため、それが徐々に私たちを蝕んでいることに気づきにくくなっています。気づきにくいがゆえに、多くの人が自分の夢や目標のための行動にブレーキをかけてしまっている事実を見逃してしまっているのではないでしょうか?
昔のように、差し迫った危険を回避する必要がない現代であっても、不安への対処は私たちの日々の仕事のパフォーマンスを維持するためには必要不可欠なものなのです。
不安感をコントロールするには?
それでは、私たちが自分自身で不安感をうまくコントロールしていくには、どうすればよいのでしょうか?
結論をいえば「不安の正体を明らかにして、その解決方法を決める」ことが重要となります。人間は、様々な懸念や気がかりなことが複合的に不安感として表れるようになっていますから、まずはその懸念事項や気がかりな事柄を一つひとつ明らかにして、自分自身にその解決方法を提示してあげることが大切なのです。
不安感というものは、その正体と解決法が明らかになれば、自然と消えていくのが特徴です。したがって、定期的に自分の不安を吐き出し、何が自分を不安にさせているのかを自覚する作業をすることによって、徐々に不安感がなくなり、メンタルが安定するようになります。
時間をとって集中する
この「不安を吐き出す」という場面で重要となるのが、一定時間とにかく集中して不安事項を明らかにしていくということです。
たとえば、不安なことをすべて書き出して明らかにしようとする場合、多くの人はちょっとした空き時間に仕事の延長のような方法でやってしまったり、面倒がって軽く考えた程度で終わらせてしまいがちです。
しかし、そういった雑な方法では、頭のなかの不安をすべて書き出すことはできません。一定時間リラックスした状態で集中して行わなければ、自分の正直な感情を書き出すことができませんし、その合理的な解決方法も導き出すことができないのです。
ですから、まずじっくりと腰を据えて集中できる環境を整えましょう。そのうえで、これから紹介するGTD(Getting Things Done)というアプローチを試してみることをおススメします。
GTDのススメ
「GTD(Getting Things Done)」とは、コンサルタントのデビット・アレン(David Allen)が同名の書籍によって提唱した、主に仕事上の目標を確実に達成するためのアプローチのことです。
Wikipediaでは『個人用のワークフローの管理手法』であるとしており、さらに
『心理的な負担を減らしながら個人の生産性を上げることを主眼とし、簡単な5つのステップを実行することによって成し遂げたいことを現実にするメソッド』
と説明されています。これだけ見ると何だか難しい方法に感じられるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
これは簡単にいえば、頭の中にあるモヤモヤした不安事項をすべて外に書き出し、その解決のための行動を体系化しようとするアプローチともいえるのです。
GTDで日々の不安をコントロールする
GTDは、特に毎日の仕事に忙殺されているビジネスパーソンが、システマチックに必要な行動をとるための方法として認識されていることが多いようです。しかし私たちの日々の漠然とした不安を明らかにし、生産的な毎日を送るための方法としても応用することが可能なノウハウです。
そもそも不安感というのは、解決すべき事柄やその方法がはっきりしていない事柄が積み重なることで起こってきます。これによって頭のなかが堂々巡りになってしまい、すべきことの優先順位がわからない状態になるのです。
これが日々の生活の生産性を下げ、慢性的なストレスとなって私たち自身を蝕んでしまうことになります。
そこでGTDでは、そういった事柄を一度自分と切り離して体系的に整理し、一つひとつに解決法を与えていきます。そしてその解決のための行動をいつ、どのように行うのかを明らかにして日々のスケジュールに落とし込んでいくわけです。
具体的なGTDのアプローチ
GTDの最終目的は「今まさにすべきこと」を明らかにすることです。実際に行動して、自分から解決を図らなければ、不安の原因はなくなりません。
ですから、まずはその原因をすべて特定し、それら一つひとつについて実際に解決までの道のりを明らかにするのが、GTDを用いた不安コントロール法となります。
「今気になっていること」をすべて書き出す
まず自分を客観視するために、頭の中身をそのままアウトプットしていきます。
将来に向けて気になっていることや、心の裡に引っかかっている事柄、あるいは、いつかやろうと思っていて行動できていないことを全てノートなどに書き出していきます。これによって、これまで漠然としていた「やらなくてはならない」と感じている不安事項に正面から向き合うことが可能になります。
「書く」という行為は、それだけで私たちの精神を安定させてくれる効果があることがわかっており、メンタルの安定に大いに寄与します。実際に試してみると、この時点で不安な感情が抑えられているのがわかるはずです。
具体的な行動に落とし込んでいく
不安事項を一通り書き出したら、今度はそれを解消するために何をすればよいのか、具体的な行動として落とし込んでいきます。当然、これは仕事に関するものではなくても構いませんし、どんな些細なことでもOKです。
たとえば「銀行で振込みをする」という行動が気にかかっていたとすれば、実際に「通帳を用意して銀行に行く」というふうに具体的な行動を決めてリスト化していきます。一つの気がかりな事柄に対して、実際にとるべきアクションを明らかにしていくわけです。
特に「夫(妻)と話し合いの時間をもつ」といった人間関係に関することは、積み重なれば不安の原因となりやすいです。些細なことでも実際の行動として決めてしまうことをおススメします。
「すること」を整理する
具体的な行動リストが出来上がったら、普段自分が使っている手帳などのスケジュール管理ツールに入れ込んでいきます。
一つひとつのリストには、実際に取るべきアクションが明らかになっているはずですから、それをスケジュール化することによって、その時間に「何をするか?」がわかるようになります。
そうやってリストをすべてスケジュール化したら、全体を見直して無理な予定になっていないかを確認しましょう。後から定期的に見直して修正を加えることも重要です。もしやり忘れていることがあれば、すぐに着手しましょう。
スケジュール帳に従って行動する
どんなに綿密に組まれたスケジュールであっても、その計画ばかりに時間をかけて実際に行動しなければ意味がありません。むしろ、行動しなければ、そのこと自体が不安要素として自分にのし掛かってくることになります。
しかしこの方法によって頭をすっきりさせ、不安をコントロールすることができれば、日々の不安は解消されるはずです。
特に先延ばし癖によって常に不安を抱えているような人にとっては非常に有効なアプローチといえるでしょう。やる気を維持しながら確実に必要な行動をとることができるようになります。
GTDで不安感を解消する
多くの人にとって不安の原因となっているのは、実際に行動すれば解決できるにもかかわらず、これまでやってこなかった事柄でしょう。一つひとつは些細なことであっても、それが複雑に絡み合いながら積み重なることで、いつしか自分でも何が原因なのかが分からなくなってしまっているのです。
しかしそういった状態を丁寧に紐解いて解決することによって、いつしか絡み合った糸がほどけていく様に不安も解消されていくことになります。ぜひ、あなたもGTDアプローチを実践して日ごろの不安を上手くコントロールしていってください。