言葉の力で圧倒的な自信をつける方法とは
「自信がある」というのは、生まれつき備わるものなのでしょうか。
もしもともと自信がある人でも、時として突然環境が変わる事で、今まで当たり前と思っていた「自信」が一瞬にして崩壊し自信を失うことがあります。予期しない環境に置かれた時、「自信」はとても傷つきやすく、いかに壊れやすかに気付き、自信を持ち続けることの難しさを経験するかもしれません。
そのような予期せぬ事態により自信を失った時に、どの様にしてもう一度、自信を回復させることができるのでしょうか。
目次
ある海外留学を経験した人のエピソード
先日、偶然にある海外留学経験をした人から話を聞く機会がありました。
その人の印象は、とても明るく積極的で自信に満ち溢れているように見えたのですが、話を聞いてみると、彼はほとんど鬱状態にちかいほど落ち込み、完全に自信喪失した経験があったそうです。
以下は、彼が語ってくれたエピソードです。
彼は、『海外で生活すると、英語は自然と上達するもの』と信じ、7年前に一大決心をし、カナダへ専門分野の福祉に関わる勉強をするために留学しました。
自信満々で挑んだカナダ留学。しかしそこでまず真っ先に遭遇したのは、『言葉の壁』でした。その壁がいかに高くて厚いかという事を、嫌というほど思い知らされるという厳しい現実が待っていたのです。
英語が聞き取れない、話せない、授業についていけない、そして孤独という現実。
それを目の当たりにし、彼の持ち前の明るさや自信は学校が始まって間もなく、いとも簡単に失ってしまいました。
言葉の力で言葉の壁を乗り越える
カナダに来てすぐ留学を始めた頃、彼は全く授業に付いていけませんでした。
クラスメートは全てカナダ人。
英語を母国語としない人間は、彼ただ一人だけだったのです。
日本に居る時は、多少なりとも英語を話せるものと思い込んでいました。
が、しかしそれは全くの間違いだったのです。その事に気づくのに2日も掛かりませんでした。
カナダ人同士で話すスピードはとても速く、教室内で普通に交わされるスラングやその時の流行語など全く理解できず、当然、彼らの会話に加わることもできません。また彼らも積極的に彼に話しかけようともせず、時に無視されることもあり、彼はクラスの中でどんどん孤立した状態になっていったのです。
日常の会話だけでなく、授業でも同じでした。
教師の話は専門用語が多くて知らない単語ばかり。話すスピードも速すぎて全く理解できないまま空しく授業が終わっていきます。
授業が終わるたびに図書館へ行き、その日授業をした箇所のテキストを一行、一行ゆっくりと理解しながら読み込み、分からない所はインターネットで日本語の解説と並行しながら読んでいく…そうしてやっと理解していくという日々の繰り返しでした。
予習として5ページほどテキストを読んでいかなければならないのに、復習だけで精一杯。とても予習までする時間も気力も体力も残っていません。
また授業の内容を理解するだけでも必死なのに、そこからさらにレポートやプレゼンテーション、ディベートの資料などを作り上げる作業や、その他にもたくさんの課題や宿題を期限内で終わらせなければなりませんでした。試験もテーマごとにあり、試験の結果が75%を3回下回ると余儀なく学校を退学させられるというプレッシャーもあり、一時も気を抜ける時は無かったと言います。
そして、どう考えても「これは私の能力を完全に超えている!とてもじゃないけど、もう無理だ。」とどんどんと落ち込み、やる気も消え失せ、当初の自信は欠片さえも残っていません。
学校へ向かう足取りはだんだんと重くなり、日ごとに…「やりたくない!もう駄目だ…」という気持ちばかりで、ため息しか出てこなくなりました。
クラスメートに会いたくない。カナダもカナダ人も大嫌いになっていく。彼はますます追い詰められていき、夜もよく眠れず、寝たら寝たでテストで失敗する夢ばかり見るのです。
ある日、授業でディベート(全く逆の意見をもつグループに別れ、討論競争をすること)をするという日の朝。彼は日常会話もろくに出来ないのに、討論なんか出来るはずもなく、気持ちが塞ぎ、両足にまるで重い足かせをはめられたように身体ごと地面の中に沈んでしまうほどに気持ちが落ち込みながら学校に向かっていました。彼の顔からはすっかり笑顔が消えてしまっていたのです。
が、その学校へ向かう道中で…
「突然、ふと、ある言葉が頭に浮かんだ。」と彼は言います。
「No Action, No Change! 」
この言葉は、数年前に彼の妹が落ち込んでいるときに、少しでも彼女を励まそうと思い
インターネットで元気が出る言葉を探している時に出会ったものでした。
その言葉が、何故かパッと彼の頭の中に浮かんだのです。
「そうだ!落ち込んだり不安に思うことは一杯ある。でもだからといってもし何もしなかったら何も変わらない。」
「失敗してもいい。ただやるだけ!!!」と一人でつぶやいていたのです。
すると学校へ向かう足取りが急に軽くなり、「やったるぞ〜!」、なんて元気も出てきて、ついに教室に入る時には、笑顔で「Good Morning! 」と明るく挨拶し、その日の課題の準備を始めました。
「で、ディベートの結果は?」と尋ねると、
「やっぱり全然だめだった。。。」と笑って言います。
全く彼らの論争に口を挟むことなどできず、相手のグループも、彼の仲間のグループでさえも、完全に彼の存在を無視して、激しい口論を繰り広げていたそうです。
そう。もともと持っている能力は、一朝一夕で備わるわけではもちろんないのです。
でも、その日から彼の中の何かが変わっていきました。
それは、『結果がどうであっても、落ち込まなくなった…』ということです。
落ち込む代わりに、『やれることはやった。私なりに必死で会話についていき、チャンスがあれば何か言ってやろう!と頑張った』
それでいい!!!
そう思えるようになったのです。
結果じゃない。
それよりも、まず挑戦していくことが大切なんだ!と思えるようになり、
その日から、彼は落ち込んだとき、
呪文のように…
No Action, No Change! とつぶやいて自分を励ますようになりました。
言葉には力がある
「言霊(ことだま)という言葉をよく聞くけれど。
あれは本当だな…」と実感しながら言います。
「もし誰か自信を失ってしまった人がいるならば…。
何でもいいから、自分で自分を励ます言葉を探してみてほしい。
言葉には、私達の状況も変えていく力がある。
良い言葉を使えば、良い想いが生じ、
ポジティブな言葉を使えば、ポジティブな想いが。
ネガティブな言葉を使えば、ネガティブな想いが湧いてくるのです。
それらの想いは行動となり、行動が私達自身の状況を変えていきます。
今、もし自分の状況が良くないと思ったら、
勇気や癒やしの言葉を探してみてください。
今の時代は、インターネットを使えば、色々な名言や格言と出会う事ができます。
その中で、一番力を与えてくれる『ひと言』との出会い。
その言葉は、誰よりもあなたを励まし、勇気を与えてくれるでしょう。」と。
最後に彼は、「自分が発している言葉そのモノが、自分の想いを作り、自分の状況を作っているのだということを…7年前、あの日の朝、『ひと言の言葉』がそう教えてくれた。」と締めくくってくれました。
「自信を付ける、自信を回復する」
自信を付ける、自信を取り戻す方法は色々とあるかと思います。
例えば、
自分自身との会話(メタ認知法)
自分に自分の分身がいると想像し、自信を失って落ち込んでいる自分の姿を客観的に見てみましょう。そして「大丈夫。大丈夫。」「今は充電期間。」だともう一人の客観的な自分が語りかけてくれている言葉を聞いてみます。鏡を見てもう一人の自分と会話するのも良いでしょう。そうすることで自然と心が落ち着き、他人と比べない、自分自信の「今、できること」に集中できるようになります。
記録を残す
例えば、「今朝、時間通りに朝起きることができた。」など、ほんの小さな出来事(成果)を1~2行ほど記録(日記)していきましょう。その小さな成功体験の記録を続けていくことで、少しづつ自信の回復につながります。またそこからまだ自分でも気づいていない「自分の強み」を発見できるかもしれません。
潜在意識の書き換え
潜在意識とは自覚なしに行動や意識に影響を与える意識の事です。知らず知らずの内に私たちはネガティブな思いが潜在意識に刷り込まれています。それをポジティブな思いに書き換えることは「自己実現」「願望実現」に有効だと言われています。方法としてはアファメーションがあります。アファメーションとは自己暗示のこと。なりたい自分、実現したい事などを、簡単で明瞭かつ肯定的な言葉を紙に書き、いたる所に張っておく。または何度も心の中で繰り返す。自分の声を録音し、寝る前にそれを聞きながら眠るなどです。
今、自分に必要な本との出会い
喉の渇きに水を求めるように、今、苦しみの中にいる時、一番必要な自己啓発本を求めてみてください。本に書かれている内容が、あなたの問題に対して、ヒントや答えを与えてくれるかもしれません。また本を読んで感動することは、勇気に繋がり自信を回復するのに効果的です。
時には「逃げるが勝ち」もあり
日本人はとかく、No!というのが苦手。でも時には断る選択肢もあるのです。あなたはあなたの為の人生を生きているのです。自分を大切にできない人は他人も大切にはできません。「できるかできないか」「やりたいかやりたくないか」を自分の心に尋ねてください。本当の心の声を聴いてみましょう。もし本当にやりたくなければ、はっきりNO!と言える勇気を持ちましょう。そうすることでそれが自信と繋がっていきます。
信頼できる第三者の存在
あまりにも苦しい時、冷静な判断が麻痺することがあります。本当は「No!」という選択もあるのに、「~ねばならない」という幻想が判断を鈍らせるのです。現在、社会問題になっている「過労死」にしても、もしその亡くなった方の「月150時間以上もの残業をしいられている状況」に、冷静な第三者の「それは異常だ!」というハッキリした助言があったなら…、もしかしたら、過労死を防ぐことができたかもしれません。可能であれば、あなたが信頼できると思える第三者を見つけてください。
最後に
今回、彼のエピソードをご紹介したのは、「たとえ一人でも誰かの役に立てればこんな嬉しいことはない…」という彼の想いをお伝えしたかったからです。
確かに、「自信」を失った時の苦しみは、心身ともに負のスパイラルも陥り、悪循環の波からなかなか抜け出すことが難しくなるでしょう。
しかし、大切なことは、失敗を恐れるあまり何もしないのではなく、
『挫折した時、どの様に自信を回復するか』だと思います。
挑戦し続ければ、「心が折れる」ことも避けられません。でも転んだら起き上がる。また転んだら起き上がる。その力(心)をもつ方法を見つけることが大切なのではないでしょうか。
今回紹介した彼ですが、最後には、いっぱいのカナダ人の友達ができ、先生方とも良い信頼関係を築き、無事に卒業できました。また今、カナダの永住権を取得し、あの時に勉強した専門職の資格を活かしてカナダで仕事をしています。
でも、これはあくまで、「今、できること」に集中し、失敗しても「やるだけはやった。だからいい。」と思えた結果で、ある意味「ご褒美」のようなものです。最初から、自分の能力以上の高い目標を設定していたら、もしかしたら途中で挫折していたかもしれません。
彼が言うように、言葉は、時に「壁」にも、「力」にもなります。
力を与えてくれる言葉との出会いも『自信を付ける方法』の一つの方法として、参考にしていただければ幸いです。