あなたの不安の正体は?漠然とした不安に打ち勝つ方法!

 

人間誰でも不安を感じることはあります。仕事でもプライベートでもさまざまな悩みをもつのが人間ですから、常に何らかの悩みを抱えながら生きている人がほとんどでしょう。

しかし、その不安の度合いが強すぎたり、いつまでも引き摺ってしまうような場合は何らかの対策を講じなくてはなりません。はじめは大したことがないと思っていても、気がつくと精神が蝕まれてしまっていたというケースも皆無ではありません。

そこで今回は、なんとなくモヤモヤとした感じが抜けないような漠然とした不安に対処するための方法について紹介していきます。

 

不安はどこから来るのか?

そもそも私たちの不安はどこから来るのでしょうか?

人によって不安のレベルやその性質は千差万別でしょう。ただ、不安について突き詰めて考えていくと、それは自らの身を守るための心身の働きであることがわかってきます。

真っ暗な夜道を歩くときや、地上何十メートルもの高さの吊り橋を渡るときなど、私たちはどうしても不安になってしまいます。それは、万が一の場合に身体が備えようとしているからです。

夜道では、いきなり暴漢に襲われるかもしれないという不安で身体が強張ってしまいますが、これはもし、そのような状況になった際に一瞬で逃げ出すことができるようにするためです。吊り橋の場合も、万が一足を滑らせたりしたときに、すぐに体勢を整えられるようにするためでしょう。

このように、私たちが抱く不安は、本来は自らの身を守るために太古の昔から備わっているもので、生物学上必要な感覚なのです。

 

不安と恐怖の関係

「不安」と似た感情に「恐怖」がありますが、両者は密接な繋がりがあります。

相手や対象が明らかになっていない段階が不安と呼ばれる状態であり、自分でその対象を自覚した時点でそれは恐怖という感情に変わります。

即ち、恐怖心は不安以上に切迫した状況に対処するための感情であり、全人類が共通してもっている最も強力な感情です。そのため、私たち自身の無意識や神経回路にはっきりと刻み込まれています。

これは生存本能に関わる部分ですから、私たちのなかから完全に恐怖心や不安感をなくしてしまうことは不可能なのです。

恐怖心の性質が変化

太古の昔、人類が常に命の危険に晒されていたような時代は、確かに恐怖という感情は命を永らえるために必要なものでした。しかし現代においては、日常的に生命を脅かされるようなことはほとんどなくなり、私たち人間の抱く恐怖心はその性質を変化させてきたといえるでしょう。

即ち、環境の変化や凶暴な生物に脅かされる恐怖から、リストラや対人関係における恐れ、あるいは自分を否定されてしまうことや、恥をかくことに対する恐怖へと変わってきたのです。換言すれば、明確に対象を指定できる恐怖に代わり、漠然とした不安を抱くケースが増えてきたということです。

今でも私たちは明らかな恐怖心を抱くことはありますが、日常的に漠然とした不安を抱くケースが圧倒的に多くなっています。

行き過ぎた恐怖や不安は毒になる

その性質がどういうものであれ、適切なタイミングで不安や恐怖を感じることができれば、私たちは適切な行動を取りやすくなり、場合によっては自らの命を救うこともあるでしょう。ですが、逆に恐怖心に屈服してしまうと、思うように行動できなくなることがあるのを私たちはよく知っています。

同様に、行き過ぎた不安によっても、私たちは精神的なエネルギーをなくし、自信をもって物事を決めることができなくなってしまいます。恐怖感も不安感も生きていくうえで必要な感情ではあるものの、そのバランスが崩れると私たち自身を蝕むようになってしまうのです。ですから、私たちはそういった感情の暴走を制御し、適度なバランスを維持する術を学ばなくてはいけません。不安をコントロールする方法を学ぶ必要があります。

 

 

不安をコントロールする方法

それでは、恐怖心や不安感の由来について説明したところで、具体的に不安をコントロールする方法について考えてみましょう。

上述のように、不安の正体は千差万別であり、当人であっても容易に自覚できるとは限りません。それに加えて、先天的に不安になりやすい人となりにくい人がおり、脳の特徴が違っていることがわかっています。

特に不安になりやすい人の脳は、そうでない人に比べて自分の周りの脅威に敏感であり、滅多なことでは高揚感を感じない傾向があるそうです。そういう人にとっては、ほんの少しの出来事でも、それが不安の引き金になってしまう可能性があるでしょう。

自分の先天的な特性を変えることはできませんから、不安になりやすい人は、特に意識して不安をコントロールする方法を学ぶ必要があります。そのためには、まず不安感の特徴について理解しましょう。

不安を乗り越えるには?

私たちが抱く不安感には特徴があります。それは、その正体が明らかになり、さらにそれが解決できるものであることがわかれば、私たちのなかで消えていくということです。恐怖心も不安感も、本来は私たちの生存に関わる部分ですから、その対象が私たちを脅かさないことが分かれば、自然と消えてなくなるわけです。

ここが非常に重要なところで、漠然とした不安を抱えたままにしておくと、私たちの行動エネルギーはどんどん削られていってしまい、パフォーマンスが下がってしまいます。しかし逆に、その不安の原因を明らかにすることができれば、ある程度不安感をコントロールすることが可能になります。

そのために有効とされている方法として、不安感の原因と思われる事柄を徹底的に書き出し、それぞれ対策を明らかにすることで、漠然とした不安感を徐々になくしていくやり方があります。

 

不安を和らげるには「書く」ことがおススメ

書くことは、私たちの精神を安定させてくれる効果があることが知られており、メンタルの安定に非常に役立つことがわかっています。

たとえば、トラウマを抱えている人々に、毎日たった数分でも自分の心の裡にある感情や考えを書き出してもらうことにより、自信や幸福感が増すことが、さまざまな心理学上の実験によって明らかになっています。

よく悩みやトラウマは他人と共有することで楽になるといわれますが、実はこの方法はほとんど効果がないといわれており、その代わりに、短時間でも自分のこれまで抱いていた感情や本音を書き出した方が圧倒的に効果が出るのです。

不安なことをノートに書き出す

この「書く」という行為は、重いトラウマや悩みを抱えている場合のみならず、私たちが普段抱えているような漠然とした不安の場合も非常に有効に働いてくれます。

ノートなどに自分の考えていること、何となく気になっていることを手当たり次第に書き出してみることで、徐々に漠然とした不安の正体が明らかになります。そして、書き出した一つひとつの問題に対して、具体的な解決策を考えていくことによってメンタルが安定するようにななるのです。

実際に書き出す際には、特に「何について悩んでいるのか」や「何が気になっているのか」を自問しつつ、すべてを吐き出すように書き出してみましょう。

その後、一つひとつ事柄について対処法を書き出していってください。そうすれば、これまで漠然としていた不安に回答が与えられ、自分のなかで徐々に消えていきます。それらはもはや私たちを脅かす存在ではなくなったからです。

どんなに些細なことでも構いませんから、ぜひ時間をとって気になることを全部書き出してみてください。自分でも驚くほどの効果を実感できるはずです。

 

不安の性質を理解し、一つひとつ明らかにしていく

私たちが日ごろ抱えてしまいがちな「漠然とした不安感」について、その正体と具体的な対処法を紹介しました。

特別なカウンセリングや通院が必要なほどの精神疾患やトラウマは別にしても、どんな人でも何かしらの不安を抱えて生きているものでしょう。そういった不安を放置していると、それが徐々に私たち自身の精神的エネルギーを削っていってしまいます。その結果、脳のパフォーマンスが下がってしまいます。

そうならないためにも、定期的に時間をとって、気になっていることや不安要素をすべて書き出してみてください。あまりに簡単なことに感じられるかもしれませんが、これは心理学的にも効果が実証された正しいアプローチです。ぜひ実践してみてください。