強みを発見するために重要な自己分析法は?過去の勝ちパターンで未来を変える!

 

あなたは過去の自分を省みたとき、そこから自分自身の「強み」を見出すことができるでしょうか?

多くの人は、自分には何らかの強みがあるはずと思っているものです。しかし、それが具体的に何か、どういう分野で能力を発揮できるのかについて、じっくりと腰を据えて考えることは稀(まれ)でしょう。

巷では主に就職活動中の学生に向けて自己分析の方法を紹介する書籍や、企業セミナーなどが開催されることが多いですが、社会人になってから自らを省みるという機会をなかなか取れない人も多いはずです。

そこで今回は、自分の強みを発見するために、すぐに実践できる自己分析法について紹介していきたいと思います。自分の強みを明確に意識することで、今後のキャリアに活かすことができますし、起業や転職の際にも役立ちます。

 

そもそも「強み」とは?

自分の強みを把握し、それを仕事やプライベートでのさまざまな場面で有効に活かしていくためには、まず「強みとは具体的にどういうものか?」を理解しておかなければいけません。なぜならば、多くのビジネスパーソンが自分自身の強みについて、漠然としたイメージしかもっていないのが実情だからです。

前回の記事(『あなたは自分の強みを知ってる?夢や目標を達成するための正しいアプローチとは?』)では、長年人間の強みについての研究を行っている作家のマーカス・バッキンガムと、心理学者のドナルド・クリフトンの著書『さあ才能(じぶん)に目覚めよう(※原題:Now, Discover your strength)』を紹介しました。

ここでは、人間の強みを体系的に説明しており、なかでも強みは3つの要素から成り立っていると説明しています。それは即ち「才能」と「知識」、そして「技術」の3つです。

「強み」の3要素

同著によると、私たち自身の「才能」と、これまで培ってきた「知識」と「技術」、これらが組み合わさってはじめて「強み」となります。

そう言われると「何となくそうかもしれない」と思う人が多いはずです。しかし、次に生まれてくるのは「そもそも才能とは何か」という疑問ではないでしょうか?

私たちがいずれかの分野でもっていると考えられる「才能」と「強み」は、何となく関係はありそうだと思っても、それが具体的にどう繋がっているのかは必ずしも明らかではなかったはずです。

そこで『さあ才能(じぶん)に目覚めよう』では、これらの繋がりをはっきりさせるために「才能」と「知識」、そして「技術」を明確に定義し、これらが融合して「強み」になると明言しています。

「才能」を定義するとどうなるか?

それでは、該当部分を引用してみましょう。

『ここではまず三つの大切な用語、才能、知識、技術の定義をしておきたい。

  • 才能とは、無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターンである。才能となるさまざまな資質。それは<ストレングス・ファインダー>で見つけてほしい。
  • 知識とは、学習と経験によって知り得た真理と教訓である。
  • 技術とは、行動のための手段である。

才能、知識、技術。この三つが組み合わさって初めて強みが生まれる。』

(前掲書,34頁 )

このように、才能と知識、そして技術が明確に定義されており、自己分析によって自分の強みを明らかにするための大きなヒントとなります。

ちなみに、ここで紹介されている「ストレングス・ファインダー」についてですが、これはアメリカのGallup社が開発した人間の強み分野を発見するための強力なツールとして知られています。

日本ではこちら(http://heart-lab.jp/strengthsfinder/sf-manual/)のサイトから詳細を知ることができますから、興味のある人は確認してみましょう。統計的に裏付けられた方法で自分の強みを知ることができるようになります。

 

「才能」分野を見つけるには?

さて、マーカスとドナルドによると、私たちの才能とは『無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターン』だということです。

つまり先天的に、あるいは知らず知らずのうちに身に着いていた考え方や行動パターンこそが才能であり、それは私たちが日ごろ自分で意識しているものとは必ずしも合致していないということでしょう。

自分で「この分野なら誰にも負けない」と思っていても、周囲の人はまったく別の分野にその人の強みを見出してるケースは決して少なくありません。なぜならば、才能とは「無意識に繰り返されて」いるため、自分ではなかなか気づかないことが多いからです。

そのため、自己分析によって才能を発揮できる分野を発見するためには、そこにある程度の客観性をもたせるための工夫が必要となります。才能分野は自分にとっては「当たり前となっている考え方や行動のパターン」である可能性が高いため、なるべく自分の願望や思い込みを排除しながら冷静に見極めていく必要があります。

過去に上手くできた理由はなにか?

そこで自分自身の才能分野を理解し、自分の強みを明らかにするための一つの方法として、過去におけるさまざまな「成功体験」に注目するというアプローチがお勧めです。過去に上手くいった経験を思い出し、どういう分野で何がうまくいったのかを自分なりに分析してみるのです。

重要なのは、必ずしも自分で狙って成果を出したわけではなく、いつの間にか成功していたことや、周囲に褒められた事柄を振り返り、自分なりに成功要因を考えてみることです。

おそらく、うまく成功要因が説明できないような出来事がこれまであったはずです。それがたとえ些細なことだったとしても、ぜひ積極的に思い出してみてください。

多くの人が、将来の成功を意識するあまり、これまでの過去を冷静に分析する機会をもつことがありません。しかし、こういった過去の「点」に注目することによって、徐々に自分の才能を自覚できるようになってくるのです。それが強みの認識へと繋がっていきます。

 

 

スティーブ・ジョブズは自分の「強み」をどう捉えたか?

このことについて、かつてスティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学で行ったスピーチで『(自分の)将来を予め見据えたうえで、点と点を繋ぎ合わせることなどできない。私たちにできるのは、その点を後から繋ぎ合わせることだけだ』と言っていました。

彼のいう「点」というのは、今現在の自分になるためのきっかけとなった過去の出来事のことです。多くの人が将来のキャリアについてさまざまな計画を立てますが、ジョブズは自らの過去を振り返ることで、今後の自分が成すべきことを見定めていたのです。そして『この方法で後悔したことなどない』と断言しています。

このアプローチは私たちが自己分析をするうえでも役立ちます。過去において、私たちが強みを発揮して成功した出来事(点)同士を結びつけ、そこから自分なりの成功法則を導き出してみましょう。そこには確実に自分の才能分野が絡んでいるはずです。

ぜひ、少し時間をとって過去の経験を振り返り、今現在の自分を形作っている「点」とは何かを考えてみてください。

 

あなたの「成功パターン」を見極める

このように、自分が「無意識のうちに繰り返してきた成功パターン」を見極めることは、自己分析で最も重要なことです。一度で振り返っただけでは漠然としか分からないことでも、繰り返しこのアプローチをとることで、徐々に自分の強みが明らかになってきます。

あらゆる分野で成功した人々は、自分にとって当たり前で、自然にできることを活かして成功を勝ち取ってきたという事実があります。

苦手分野の対処は後回しで構わない

しかし、特に日本人は自分の弱点や苦手分野を克服することこそが成功の秘訣だと思い込んでいることが少なくありません。そのため自己分析をしても「○○が上手くできない」とか「××を直したい」といったふうに、どうしても改善点や至らない点にフォーカスしてしまいがちです。

そしていつの間にか「強みを活かす」という成功にとって最も重要な要素を忘れてしまうのです。そうではなくて、まず自分の強みをしっかりと認識し、それを活かすことのできる分野を見極めることが重要となります。

そのうえで苦手な部分を他者に補ってもらえるようにすればよいのです。特にビジネスの分野では、この方法で企業を成長させてきた人々がたくさんいます。

ぜひ、あなたにも自分の勝ちパターンがあることを知ってください。それを見つけ出し、最大限活かせる環境を作り上げることが、本当の自己分析の目的なのです。

 

才能分野で知識と技術を磨く

自分の「強み」を発見するために、簡単にできる自己分析法について解説してきました。

繰り返しになりますが、私たちの「強み」とは、自身の「才能」と「知識」、そして「技術」の組み合わせでできています。まず自分の才能分野を発見し、その分野において知識と技術を磨いていくことで、他者が真似のできない高いレベルで強みを伸ばすことができるようになります。

成功に至るまでの道のりは多種多様ですが、スティーブ・ジョブズが語ったように、自分の過去の点と点を結びつけ、それを将来の目標に繋げていくようにしましょう。それこそが強みを活かすアプローチであり、最も可能性の高い方法なのです。