HSPってなに?HSPの人たちに向いている仕事や働き方とは?
目次
HSPとは?
この現代社会、「たくましく生きていかなくてはいけない」と言われることが多く、繊細であるがゆえ非常に生きづらさを感じる人も中にはいるでしょう。繊細さというのは、何か病であるわけでなく、人の性格や性質そのものであり、しかし大多数の人からは理解されづらい事と言われています。
そこで、Elaine Aron(エレイン・アーロン)博士は、繊細な人について研究をすすめ、その結果『HSP』という特性を発表しました。HSPというのはHighly Sensitive Personの略で、意味は文字通り「とても繊細な人」という事です。もう少し具体的に言うならば、繊細で感受性が強い性質を持った人々のことを指します。
よく誤解されがちですが、うつ病や精神病など、何か精神疾患を抱えているわけではなく、生まれつきの性質であり、治すべき病ではありません。
では、HSPとはどういう人たちの事を指すのでしょうか?
- 他人の感情や気分に影響されやすい。
- 同時期、もしくは短期間に複数のタスクを抱えると、パニックになる。
- 誰か他人に見られていると思うと、思ったことができない。
- 周囲が騒がしいと、明らかにパフォーマンスが下がる。
などありますが、基準はアーロン博士のHPや書籍を一読し、判断するのが良いでしょう。繰り返しになりますが、精神病ではないので、医療機関で診断するものでもありません。あくまでも自己判断の領域は出ません。
しかし、自分の事ですから、自分の性質は深く知っておいても損はないでしょう。もし、自分がHSPかも、と心当たりがあるならば詳しく調べてみるのも良いでしょう。
HSPの人を悩ませること
HSPという性質を周囲のHSPではない人に理解されづらいのが、何よりもの悩ましいところです。非HSPの人は、人と群れるのが楽しく、常に刺激を求め、勝負事を好む傾向にあるからです。
- ストレス耐性が低い
- 人前で極度の緊張をしたり、臆病である
- 仕事が遅い
HSPの人は、周囲に上記のような評価を受けやすいと言われています。 また、HSPは周囲の刺激や環境に強く影響されやすいため、特に仕事をする上で難しいと感じる状況に陥りやすいです。
周囲の騒音や、人々の感情に強く左右され、心を消耗し疲弊してしまうのです。そして、自分がHSPと知らないばかりに、そうした『疲れる職場』ばかりを転々として、転職回数ばかりが増えていくという、あまりよろしくない結果にもなるでしょう。
HSPの人にとって、にぎやかな職場は辛い以外の何物でもないでしょう。営業の男性が多い職場などだと、毎日大きな声でやり取りが交わされ、いわゆる「活気のある職場」ということになるでしょう。ある人には、楽しい職場になりますが、HSPの人にとっては辛いのです。人によっては、毎日自分が怒られているかのような錯覚に陥ります。
また、電話に出ることや電話を掛けることにも抵抗感を感じます。ですので、営業職はもちろんのこと、電話応対の多い事務職も辛い気持ちになるでしょう。事務職ならば、営業補佐だし、資料作っているだけだし、などと考えるのは甘い考えかもしれません。普段外回りで社内の電話に出られない代わりに受けるのは事務職の人ですし、相手の要望を上手くまとめたり、聞きだしたりする仕事でもあるので、HSPの人にとってラクな仕事ではないのは確かでしょう。
まずは、HSPと認識することが大事
「そんなこと言ってたらどんな仕事も出来ないじゃないか!」と思うかもしれません。そうですね。電話応対は、仕事の基本中の基本ですし、全く出ないというのは難しいです。 HSPの人にとって何が重要かと言うと、「自分は自分なんだ」と思うことがまずは重要ということです。
「仕事が出来ないのは、自分の能力が低いせいなのではないのか」
「電話が苦手なのは、何かおかしいのか」
「こんなにも周囲の騒音が気になるのは何か病気なのではないか」
このような、他人との違いは何もおかしい事ではないと認識することが重要です。電話が苦手でも、必要な時には対応しなくてはいけません。しかし、この『人との違い』を、おかしいと思わない事が必要なのです。
みな人間、何かしら人とは違うのであって、それがたまたまHSPという性質を持っているだけなのです。誰しも営業職に適性があるわけではないですよね?芸術の分野に秀でていたり、人の話を聞くことが得意であったり、人それぞれ役割が違うのです。
ですので、HSPの人は「その特性を活かした生き方ををして、仕事をしていけば良いのだ!」と割り切りましょう。
何度も言いますが、HSPは精神疾患でも病でもなく、人の性質の一つです。診断は自己診断にすぎません。自分の性質の答えは、自分で見つけ出すしかないのです。
「なぜ自分は、この世の中で生きづらいのだろうか、仕事をしづらいのだろうか」という疑問を自分の中で解決ひとつのツールがHSPにすぎないということです。
しかし、幼少期から「もっとタフになれ」や「そんなにヤワにならず、もっとしっかりしろ」というHSPではない人からの辛い言葉に悩まされてきたことからは、解放されるでしょう。
あなたの性質は、変えられるものでもないし、変えるべきものでもないのです。
向いている仕事とは?
HSPが社会で働いていくためには、その性質を押し殺したり克服するといったことはする必要なく、その得意分野や性質を活かして仕事をしていけば良いのです。
さて、HSPの得意分野や、才能はあらゆる事があります。人によっては、「羨ましい!」と感じる人もいるでしょう。
仕事面において、どんな活かせる性質があるのでしょうか?
- 聞き上手
- 感情を読み取るのが上手
- 真面目で几帳面
- 忠誠心があり、献身的
- 他人の監視がなくとも、自立して仕事を進める(むしろない方が心地よい)
- 問題を深く考えることに長ける
- 感性が豊か(感傷的な部分もある)
- 慎重で丁寧な仕事ぶり
- 空想力が高い
- 共感力が高い
など、ざっと挙げただけでもこれだけあります。また、「感受性が高い」というのは言い換えれば「気付く力強い」ということです。他人が気付かないことも気が付くということは、仕事のミスを未然に防ぐのにも役に立ちます。また、気付く力があるので、完成度の高いアウトプットを作り上げることも出来るでしょう。そして、仕事上のプロセスで何か違和感を感じたら気付くので、業務改善をする上でも十分役に立ってくれるでしょう。
自営業は理想系!?
HSPの人にとって、最適とも言えるの職業の一つが自営業でしょう。自営業は、職場は自分で選択することができるので、他人に干渉されることのない自宅で仕事をすることが可能です。これは、HSPの人にとっては大きい事で、他人が発する声や物音、匂いや感情に影響されることなく作業ができます。 自営業やフリーランスで働くことは、自分の理想の環境を作り上げることができるので、HPSの人は仕事のパフォーマンスを上げることが可能でしょう。こういったフリーランスで働く場合の例を挙げるとするならば、
その他向いている仕事例
- 在宅でのライティング業務、データ入力
- Webデザイナー
- 学校司書
- 図書館司書
- カフェのスタッフ
- 研究者
- 芸術家
- 編集者、校正者、ブロガー
- セラピスト
- 花屋さん
など。
職場で出来る工夫・心がけ
転職をしたり、職場を変えるというのは、HSPの人にとって、息苦しさを感じるのであれば、ぜひ実行してもらいたい手段ですが、様々な事情によって、そう簡単に変えることができない場合も当然あります。
そういった場合は、今の職場環境をHSPの性質でも少しでも上手くやっていけるように工夫することが良い方法になります。例えばどういったことが対策としてできるでしょうか?
1.「近寄るなオーラ」を出してみる
これだけ書くと、ひどい事のように思えてきますが、自分が作業や仕事に集中している時は、「集中モード」に入って良いでしょう。ただし、電話応対など人との接客などを職業にしている人以外に限ります。こういうオーラを出すと、同僚から嫌われてしまうのではないか、と心配で気がかりになるかと思います。しかし、普段のあなたの真面目な仕事ぶりを見ていれば、それだけで嫌われることは、まずないでしょう。むしろ、その後に出す成果で驚いてもらうくらいの勢いで集中する方が良いでしょう。
どうしても、他人の感情をダイレクトに感じ取ってしまうので、やってきてくれた人の様子が気になるでしょうが、ここぞという時は頑張ってシャットアウトしてみましょう。
常にそういったオーラを出すわけではないのですから、大抵は大丈夫です。
(※職種にもよります)
2.周囲の期待に応えすぎない
真面目で、完璧主義のHSPの人に多いパターンですが、どうしても頑張りすぎてしまい疲弊してしまうケースです。誰かが大変そうだったり、上司に情で訴えられてしまうと、どうしても「自分が頑張ればいいのだ」といきなりトップギアに入れて、途中でエンストしてしまうのです。特に新しい職場や仕事、新しい部署などの場合、そういったことが起きることが、しばしばあります。
ですので、「頑張りすぎない!」と考えるのは難しいかもしれませんので、こう考えてみませんか?「自分のハードルを上げすぎないようにしよう」と。初めからがんばりすぎて、後で困ってくるのは自分です。
まとめ
HSPの人は他人との共感力が高く、騒がしい環境が苦手で、精神をすり減らしやすい性質を持っています。短時間にまとめて同時の仕事を請け負うのはあまり得意ではなく、競争意識は好きではないという性質もあるので、こういったところから周囲からネガティブな印象を持たれやすいです。
しかし、HSPの人は非常に豊かな才能を持ち合わせています。感性が優れていることや、空気を読むのが非常にうまいので、クリエイティブな仕事に力を発揮することも多くあります。几帳面で真面目であるので、仕事のクオリティを下げることはないでしょう。また、日ごろから気付くことが出来る人なので、業務改善をする際も成果を発揮します。
何度も言いますが、HSPは病気でも何でもないので、治す必要は全くありません。ポジティブな才能にあふれている人たちなのです。
人間は適材適所なので、HSPの性質に合った環境で働いたり、職場で工夫することで仕事は円滑進めていくことが可能でしょう。今回ご紹介した仕事以外でも、輝ける場所はきっとたくさんあります。
悲観的になることは決してありません。自分に合った働き方をすれば良いだけなのです。