人より敏感な「HSP」は立派な魅力!自分らしく働ける方法や仕事とは?

 

人よりちょっと敏感なあなた…もしかしてHSPかも

周りは気にしないようなちょっとしたことが気になって、ストレスを感じてしまうことはありますか。人より敏感な性格だと感じているのであれば、もしかしたらあなたは“HSP”なのかもしれません。

HSPについてはこれから詳しく説明しますが、決してうつ病などのような病気ではなく、性質の1つです。たしかにHSPと呼ばれる性質によって、仕事上で苦労してしまうこともあります。しかしHSPにはほかの人にはない魅力的な才能があり、HSPの性質は多くの場面で必要とされています。

ここではHSPの特徴や抱えやすい課題と解決法、向いている/向いていない仕事をご紹介します。HSPの性質を理解し、今より自分らしく働くためのヒントにしてください。

 

HSPの意味と特性とは?

HSPとは「Highly sensitive person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略称で、1996年にエレイン・N・アーロン博士が考案しました。高い感受性を持ち、周りよりも敏感な気質を持った先天性の性質のことを指しています。

アーロン博士によると、日本人の約5人に1人HSPの気質を持っているといわれており、認知度はまだそこまで高くないものの、決して少ない比率ではありません。有名人でいうとアメリカ大統領のジョージ・ワシントンやロバート・F・ケネディ、心理学者のカール・ユングなどがHSPだったといわれています。しかも人間だけでなく、魚やイヌなどの動物にもHSPと呼ばれる性質が存在しています。

HSPの特性は、ざっくり分けると3つに分類されます。1つ目は、情報処理能力の高さです。HSPは右脳が比較的発達しており、想像力が高い傾向にあるといわれています。そのため、ほかの人であれば見落としてしまうような細かな点に対する気付きに優れていて、仕事のミスが少ない傾向にあります。ただ細かな点にも気を配れる分、周りの雰囲気や相手の表情などを気にしすぎてしまい、負担になってしまうというデメリットもあります。またHSPの場合、ゆっくりと深く考えることが多いため、すぐに行動や結果を出すことを求められる場面では十分能力を発揮しにくい傾向にあります。

2つ目は、感受性が高いことです。HSPは音やにおい、光などの刺激に対して過剰に反応してしまう傾向にあります。音楽や美術などの芸術に深く感銘を受けやすいという長所がある一方で、騒音や強く匂いのする場所にいるとほかの人よりも強いストレスを感じやすいという短所もあります。

3つ目は、共感性に優れている点です。HSPの方は周りの感情を読み取るのに長けており、人の気持ちを理解し、空気を読んで行動することが得意です。また小説や映画の登場人物に自分を重ね合わせやすく、深く感銘を受けやすいという特徴があります。一方、周りの感情に左右されてしまったり、他者との競争を嫌うことから仕事によっては結果を出しにくかったりすることもあります。

こうしたHSPの特徴をみると、長所と短所は紙一重だということが分かります。つまり例えHSPであっても、能力を十分発揮する環境に身を置くことで、ほかの人にはない武器にすることができるのです。次の章にあるHSPのチェックリストを確認し、よりHSPに対する知識を深めていきましょう。

 

HSP診断テストをチェック!

次に自身がHSPかどうか診断できるチェックリストを確認してみましょう。ここでは、イルセ・サン著『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』に掲載されているチェックリストを掲載します。少々質問数は多いですが、各項目に対し、以下の0点から4点の5段階の点数をつけてください。

0点「当てはまらない」

1点「ほとんど当てはまらない」

2点「やや当てはまる」

3点「ほぼ当てはまる」

4点「完全に当てはまる」

① HSP診断テスト 35項目(グループA)

1)美しい音楽を聴くと興奮する

2)日々、どんな失敗が起こりうるか対応策を考えることに、多くの労力を費やしている

3)新たな可能性や選択肢に気づくのが得意だ

4)すぐにインスピレーションを受けて、よいアイデアをたくさん思いつく

5)この世は耳で聞き、目で見るものよりもたくさんのものがあると知っている

6)痛みを感じやすい

7)ほかの人にとってはささいに思えることにさえ、打ちのめされてしまうことがある

8)毎日、1人でいる時間が必要だ

9)一人になって休憩する時間がないまま他人とずっと2、3時間以上も一緒にいなくてはならないと疲れ果ててしまうことがよくある

10)緊迫した空気が流れていると、その場から離れたくなる。

11)誰かの怒りを感じると、たとえ自分に向けられていなくてもストレスに感じる

12)ほかの人の痛みが、自分の神経の奥深くへと入り込んでくる

13)不愉快な驚きや誤解をさけるために、いろいろと手を尽くす

14)想像力があると思う

15)ときどき芸術作品を見ていて、喜びで胸がいっぱいになることがある

16)大量の情報や刺激にすぐに耐えられなくなってしまう。

17)遊園地・ショッピングセンター・スポーツイベントと言った非常に刺激の多いところに行くのが好きではない

18)デレビなどで暴力シーンを見ると、その後何日間も影響されてしまう

19)ほかのひとよりも、考えることに時間を使う

20)動物や植物の状態を感知するのが得意

21)美しい自然を見ると、心の中が歓喜の声でいっぱいになる

22)常にアンテナを張っていて、周囲がどんな気持ちでいるか察知することが出来る

23)後ろめたい気持ちになって罪悪感を抱きやすい

24)仕事中に誰かに監督されているとストレスに感じる

25)真実が何かを見抜くのが上手く、ほかの人の欺瞞(ぎまん)にもすぐ気づく

26)すぐにビックリしてしまう

27)強いつながりを持ち、深く交流できる

28)周囲が不快に思わないような音でもひどくいらだたしく思えることがある

29)勘が良い

30)一人の時間を楽しめる

31)流れに任せて即座に行動することは滅多になく、たいていの場合よく考えてから行動する

32)大きな音・強烈な匂い・鋭い光をひどく不快に思うことがある

33)ときどき、穏やかに落ち着いたところで休憩する必要がある

34)お腹が空いたり、寒いと感じたりした時、そのことがなかなか頭から離れない

35)涙もろい

② HSP診断テスト 13項目(グループB)

36)事前準備なしに、新しい体験に飛び込むのが好きだ

37)相手の裏をかいて、自分の言い分を通せると満足な気分になる

38)社交の場で疲れることはない

39)サバイバルなキャンプが好き

40)プレッシャを感じながら働くのが好き

41)上手く行ってない人は、その人自身に責任がある場合が多いと思う

42)自分の周りでなにがおきていようと影響されることなくエネルギッシュでいられる

43)パーティーではいつも最後の方まで残る

44)心配しすぎることはめったになく、いつも冷静に対処できる

45)週末は、友人たちとコテージなどで過ごすのが好きで、途中で1人になる時間は特に必要ない

46)友人や知り合いが突然やって来るサプライズ訪問が大好きだ

47)あまり寝なくても大丈夫だ

48)花火や爆竹が好きだ

点数付けが終わったら、の合計点数からの合計点数を引いてみてください。値が60以上の場合、HSPの可能性が高いです。ただ60以下だった場合でも、特定の項目の特徴が極端に強いと思われる場合は、HSPの性質を持っているかもしれません。

ただこの診断テストはあくまで簡易的なテストですので、結果が必ずしも正しいとは限りません。あくまで参考程度に、「HSPと呼ばれる性質にはこういう特徴があるのか」と思う程度にしてください。

 

 

HSPが自分らしく働くための3つの解決法

HSPは短時間にまとめて仕事をこなすことや、常に監視されること、他社と競争させられるような環境が苦手な傾向にあります。そのため短期間でノルマを求められる場所や、チームプレーが中心など常に人の目があるような場所、体育会系で周りと競争しなければいけない場所ではストレスを抱えてしまいます。

ストレスがかかった状態が続いてしまうと、最悪の場合うつ病のような心因性の病気になってしまう可能性があります。もちろん違う仕事や職場に変更できることが理想ですが、会社の都合もあり、なかなかすぐに変えることは難しいと思います。そこでここではすぐに実践できる、HSPの方のためのストレス軽減法をご紹介します。

まず、1人の時間を確保することです。例えば仕事の休憩時間を少しずらして、1人で昼食を食べるようにしたり、まだ人が少ない朝に早めに出勤して仕事をしたりするなど、今より人と関わる時間を少なくすることで、ストレス軽減につながります。

次に、積極的に有給休暇など休みを取得することです。職場にいると、1人になる時間を確保することがなかなか難しい場合もあると思います。そのため有給休暇などの休みを取得し、積極的にリフレッシュするようにしてください。有給休暇の取得は労働者の立派な権利ですので、業務を調整して取得するようにしましょう。

最後に、信頼のできる上司や先輩に相談することです。HSPはまだまだ知名度が低く、人に相談することは決して容易ではないと思います。しかし周りに理解してもらうことで、無理することなく自分らしく働けるようになる可能性が高まります。そのため信頼できる上司もしくは先輩にHSPについて説明し、仕事のどのような点にストレスを感じているのか(1人の時間が少ないことなど)、どのように改善してほしいのか伝えるようにしてみてください。

 

HSPが活かせる仕事と避けた方がいい仕事とは

最後にHSPの方が自身の強みや特徴を活かして働ける仕事と、できれば避けた方がいい仕事をご紹介します。もちろんHSPといっても、内向的な人もいれば外交的な人もおり、性格は様々です。個人によって向いている仕事、向いていない仕事は異なりますので、参考までにご確認ください。

HSPに向いている仕事の特徴は、主に「1人の時間を多くとれる仕事」と「細かな点への気配りが必要な仕事」、「じっくり深く考える仕事」の3点です。例えば動物と関わるペットシッターやトリマー、獣医、共感性が求められる介護士やカウンセラー、教師などがあげられます。ほかにもじっくり1人で考えることが多いプログラマーやソフトウェア開発の仕事、研究者、ライターなどもおすすめです。さらに細かな点への配慮が必要な、お金に関わる仕事や医者なども適しているといわれます。このように、HSPの特性は数多くの仕事や職種で求められていることがわかります。

一方向いていない仕事の特徴は、「常に人と接しなければいけない仕事」と「競争が激しい仕事」、「管理が厳しい仕事」です。例えば飲食店などのサービス業は、人によっては苦痛を感じてしまいます。また厳しいノルマが課され、周りと競争させられるような営業の仕事も同様です。そのほかに単調な仕事や、売り上げ至上主義でお金を稼ぐことが第一の目的である仕事は、HSPのじっくり深く考えられる強みを活かしきれず、やりがいを十分感じられない可能性があります。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。HSPは決して欠点や克服すべき課題ではなく、ほかの人にはない素敵な魅力があることがお分かりいただけたと思います。HSPの知名度が高まるまでにはまだ時間がかかるかもしれませんが、HSPの性質を持つ人は決して少なくありません。自分の強みや魅力に自信をもち、自分らしさを大事にしてください。